猫の皮膚糸状菌症
2019年8月13日診療日誌
猫を保護されて来院されることは動物病院では日常的です。
みんさんご縁があって家族に迎い入れるわけですが、やはり野外で生活していると病気をすでに持っていたりするので、必ず動物病院で健康診断を受けることをお勧めします。
中でも少し厄介なのが、人間にも感染してしまう「人畜共通感染症」にはご家族に特に注意が必要です。
この顕微鏡写真は脱毛とカサブタを作る野外出身の猫ちゃんから採取した毛を100倍ほどに拡大したものです。
毛の周りにツブツブが映し出されていますが、実はこれが人間にも感染する真菌の一種です。
院内の検査で明らかにすることが出来ますが、念のために遺伝子検査にも提出し、確定診断を得ています。
この皮膚病は強い痒みなどはないものの、環境中にも真菌の胞子が長く滞るため、治療期間も長期に渡ることが多いです。
なにより、この病気を知らずに家族に迎い入れた結果、ご家族全員が人間の皮膚科にかかられたケースもチラホラあります。
実は知らずに獣医師が感染してしまうケースもあるくらいです。(僕は今のところ経験無しです!)
この他にもマダニにが寄生していると、その猫から重症熱性血小板減少症候群;SFTSに人間が感染する報告が最近相次いでおり、特に50代以上の重症例では死亡例が報告されています。
野外にいる猫ちゃんを全て危険視する必要はありませんが、このように様々な人畜共通感染症があることを動物を飼われている方は知っておかれ、正しい予防医療を動物病院で受けるようにして下さいね。
山本@まだまだ猫のフィラリア・ノミマダニ予防は普及が少ないと感じる獣医師