胆嚢疾患は手術が必要なケースが増えています
2016年5月10日診療日誌
今日は12歳のトイプードルさんの胆嚢切除手術を行いました。
この子の病気は胆嚢内に砂泥が溜まる「胆泥症」(たんでいしょう)と呼ばれる病気で、食欲不振や元気消失などの病状を伴わ無いため、健康診断で偶発的に発見することが多い病気です。
昨年の健康診断で初期の病変を発見できたため、お薬での治療にかかりましたが、1年経過しての再検査にて病状の悪化と血液検査の異常が出てしまいました。
こうなるとこのまま薬や食餌療法による内科治療では改善が見込め無いため、手術を行うことになりました。
開腹してみると胆嚢壁と肝臓がビッチリ癒着を起こしており、反対側の胆嚢壁は黒く薄くなっていました。
ようするに、知命的な胆嚢破裂までのカウントダウンに入っていた子だったんです。。
おそらく微細な破裂は存在していたかもしれません。肝臓が上手にそれを覆って隠してくれたのかなと思います。
事前の検査では、さほど悪化した所見は得られていなかったのに、手術を実施してみると実はすでに進行した状態だった、、、と言うことが多いのがこの胆泥症の怖いところなんです。。
肝臓生検を含め、手術は1時間足らずで終了。現在、ICUにて経過観察中です。無事に退院できるまで数日の入院です。
以前の診療日誌にも書きましたが、胆嚢疾患は非常に増えてきていると思います。私はあと3例の手術を控えています。
様々な経験や外科医の講演からも、慢性的な胆嚢疾患については手術が十分妥当だと考えられます。
おそらく5〜10年ほど前は、このような考え方はあまりなかったように思います。
さて、残りの3頭の子たちも、どれも手ごわい病状です。心して手術に臨みます。
山本@今月は外科獣医師