関節疾患への超音波検査の挑戦
2016年2月17日診療日誌
今日はちょっと難しいわんちゃんの膝の話です
膝の病気の1つに「前十字靭帯疾患」と呼ばれるものがあります。その名の通り、十字にクロスする靭帯の前側が損傷する病気で、断裂を伴うために単純に「前十字靭帯断裂」とも言われます。
この病気の診断は過去から大きく変わらず、触診とレントゲン検査が有用です。しかしながら、その他の併発疾患を十分検討しなければならないことが指摘されているため、当院ではこの他に血液検査や関節液検査など、いくつかの検査を並行して確定診断の後、適切な治療・経過観察法を検討していきます。
しかしながら、前十字靭帯は膝関節内にある靭帯のため、視認することはおろか、レントゲン検査でも直接的に確認することは誰にもできません。
そこで数年前より有用性が指摘されてきたのが超音波検査です。動物病院では超音波検査は人の病院よりも遥かに普及しています。お示しした写真がその画像になります。
非常にわかりにくい画像ですが、断裂に伴って繊維状の靭帯がまるで紐がほつれたかのように映像化されます。
今回、手術を実施したわんちゃんにもこの検査を事前に受けていただき、断裂状態をより正確に知ることができました。何より、多くの動物病院で検査ができる現実的な方法なので、今後も有効に活用していこうと思います。
山本@獣医師