縫合糸反応性肉芽腫
2011年3月9日診療日誌
先日のミニチュアダックスフンドくんの手術のお話です。
下腹部にジュクジュクしたものがあり、他院で腫瘍としてきされたワンちゃんが来院されました。診て見ると鼡径部と呼ばれる部位2箇所から排膿があり、これはと思い飼い主様にお話をよく聞くと、他院で去勢手術を受けられたことから縫合糸反応性肉芽腫の疑いが出てきました。
縫合糸反応性肉芽腫はミニチュアダックスフンドに多い病気で、ダックスちゃんはその特別な体質から特有の疾患が多いことが知られています。この病気もその1つで、手術で用いる縫合糸に体が過剰な免疫反応が起こるためだと考えられています。
当院でも時々この疾患に遭遇しますが、摘出が成功してもその後も再発を繰り返すこともあれば、縫合糸の種類を問わず反応を起こすワンちゃんもいます。免疫抑制剤が手放せないワンちゃんもいらっしゃいます。非常に特異的な体質です
これら事態をできるだけ回避するため、当院では原則として手術全症例に最も反応性の低いと言われている縫合糸を採用しています。
どのワンちゃんでこの病気があるか診断方法がないことと、体質的な問題が大きいため、飼い主さん泣かせ・獣医さん泣かせの病気なんです
山本@獣医師