僧房弁閉鎖不全症
2012年8月7日診療日誌
僧房弁閉鎖不全症は、犬の後天性心疾患で最も多い病気のひとつです。
主に、マルチーズやキャバリア、ヨークシャーテリア、ミニチュアダックスなど、小型犬に多いです。
初期には気付かれることも少なく、普通に生活できますが、咳が出たり、ワクチン接種時の聴診などで気付かれるケースもしばしばあります。
本日、診察させていただいたパピヨンさん、他院で心雑音を指摘されましたが、詳しい検査ができないため当院を受診されました
僧房弁閉鎖不全症については、いろいろなところで書かれていますので、私はちょっと獣医さん視点で書いてみましょう
まず問診、一般身体検査をします。何気にこれが最も大事なことだったりします入口を間違えないよう、いろいろをおうかがいします。
その次は聴診。左側と右側、時には首下に聴診器をそれぞれ当てて、心拍数、心音の強弱、心雑音の程度、リズム、呼吸音を聴取します。この時点で病気の程度の半分以上を推察します
この“予想”に応じて必要な検査を実施します。主には胸部レントゲン検査、心臓超音波検査、心電図検査、血液検査の4つです。程度に合わせてこれらの検査を組み合わせます
それらの結果から得られた情報と、ワンちゃんの状況や飼育環境を整理し、最適な治療方法や経過観察を飼い主様と相談し決定します
本日の診察では、ACE阻害薬と呼ばれる血管拡張薬の投薬が推奨される状況でした。安全性も非常に高く、古くから獣医療でもヒトの医療でも使われるお薬です。
このように治療計画を各動物たちそれぞれに作り上げていきます。お薬も非常に多岐に渡り、程度や状況などに応じてこれらも使い分けます。今回も最適と思われるお薬をひとつ提案させて頂きました。高齢のワンちゃんには非常に多い心臓病なのですが、診療にも様々な切り口があり、各飼い主様に応じてこれらを用意していく必要があります。
山本@獣医師